診療科・部門のご紹介
脳神経外科
当院の脳神経外科では、田中俊英先生が毎週火曜日に外来診察を行っています。田中俊英先生は、脳腫瘍、脳血管疾患、脊髄疾患など、多岐にわたる脳神経外科領域での豊富な経験を持ち、数多くの手術を手掛けてきました。 田中俊英先生の強み 国内外の学会で数多くの発表を行い、その卓越した技術と知識は広く認められています。最新のエビデンスを基に、患者さん一人ひとりに最適な治療を提供することを信念としています。また、国内の他施設の脳神経外科専門医との交流や連携もあります。患者さんとそのご家族が安心して治療に臨めるよう、常に丁寧な説明と心温まるケアを心がけています。 脳神経外科受診をお薦めする症状について当院・田中医師が丁寧に解説します。
頭痛
頭痛は最も訴えが多い症状の1つです。病院に行ってみたが検査で異常がなく痛み止めの薬を処方され診療が終わっている方が多いのです。頭痛の原因を考え、頭痛の起こり方・頻度・頭痛の性状・時期・痛みの持続時間により分類したうえで最適な治療法を選択しなくてはなりません。
頭痛には、大きく分けて、MRIなどの画像検査を行なっても異常がない機能性頭痛(または一次性頭痛)と脳腫瘍、脳動脈瘤、脳梗塞、脳出血などによる器質的頭痛(または二次性頭痛)の2種類があります。大部分の頭痛は、機能性頭痛です。
機能性頭痛には、筋緊張型頭痛、片頭痛、群発性頭痛、神経痛に分類されます。
緊張性頭痛は首や肩の血管が圧迫されることによる「血管収縮による血流障害」、片頭痛は、頭蓋内の収縮した血管が反動で「拡張」することにより脳の圧迫や脳の表面を覆っている膜(硬膜)への刺激が要因なのです。
神経痛の自覚症状は、「櫛で髪の毛をとかすと電気が走ったような痛み」(電撃痛)「髪の毛が引っ張られる感じ」などがあります。痛みの持続時間は短いことが多いです。たまに、帯状疱疹が頭皮に発症することがあります。この場合は抗ウィルス剤で治るので、鑑別診断として大切です。
また、治療方法を考えていくうえでのポイントは、悩んでいることを第三者にお話をしてすっきりとした気分を味わうことや、食事や睡眠時間の修正を含めた生活習慣を改めることで、症状が軽くなることが意外と多いものです。
いずれの頭痛も背景には、生活上の心身のストレスが必ずあります。ストレスを解消・緩和するにはまず各人のお話をお聞きすることが最も重要だと考えています。また、他の医療機関を受診しても頭痛の原因がよくわからない方や頭痛薬を処方されたがよくなっておらずお悩みの方は是非一度ご相談ください。
機能性頭痛は一般的に生命に危険が伴うことがありませんが、一方で生命に危険が伴う頭痛(器質的頭痛または二次性頭痛)もあります。
頭痛症状だけでは、機能性頭痛か器質性頭痛かの判別はできませんので、MRIなどの画像検査を行い鑑別します。画像検査は外部へ委託し、当院脳神経外科外来で結果については詳細にご説明いたします。
顔面痛 (三叉神経痛)
頭痛でなく、顔面痛の場合は虫歯や三叉神経痛の原因も疑われます。その場合は歯科医を受診し、必要に応じて治療を受ける必要があります。
「タオルで顔を拭こうとしただけで電気が走るように痛い」「歯磨きすると痛い」「風があたるだけで、あるいは軽く顔面に触れただけでも「飛び上がるように痛い」という訴えは三叉神経痛が疑われます。その場合は、鎮痛剤を処方して対処しますが、薬物治療で改善しない場合は手術が必要となります。
めまい
めまいの原因は様々です。以下列挙してみると、
頭蓋内疾患;小脳出血・小脳梗塞・脳腫瘍(小脳・小脳橋角部腫瘍など)など
耳鼻科疾患;メニエール病・良性発作性頭位変換眩暈症・中耳炎の後遺症など
内科的疾患;貧血・低血糖・不整脈・起立性低血圧など
その他
めまいを生じる疾患は様々です。上記のように頭蓋内の疾患によるものか、耳が原因なのか、それ以外の原因かに分けて考えるとわかりやすくなります。 症状からある程度予測がつきます。周囲の景色がグルグル回って見えるめまい(回転性めまい)であると耳鼻科的疾患であることが多く、体が浮いたような感じや体が左右に揺れるめまい(動揺性めまい)は頭蓋内や脊髄脊椎疾患にみられることが多いです。よくある症状として、(横になって寝ていたり座った状態から立ち上がったり、上を見上げたりするなど)頭の位置が変わると風景が回転するようなめまいが出現した場合は良性発作性頭位変換眩暈症や起立性低血圧と診断されます。 それぞれ頭から来ているものは脳外科、耳が原因である場合は耳鼻科へかかると良いでしょう。それ以外に見落としがあるのが貧血・低血糖・不整脈等が原因で生じるめまいです。これは既往歴をお聞きすることである程度予測がつきます。 症状の強さは人によって様々ですので一概に言えません。基本的には頭蓋内疾患以外のめまいは慌てる必要はありませんが、脳梗塞や脳出血など脳卒中や脳腫瘍の場合は状況によっては緊急受診した方が良い場合もあります。その場合、めまい以外に「突然の頭痛」「手の痺れや麻痺」「歩行時に必ずどちらか一方に体が傾く」など付随する症状があれば脳神経外科を受診した方が良いです。 ともかく、原因はなんであれ、めまいを自覚した際にどの科にかかったらよいかわからない場合にもご相談ください。また他の医療機関を受診しても原因がよくわからなかったという方にも適切にアドバイスをしたいと思います。
意識消失発作・失神
「気を失った」という経験は誰もが一回は経験すると思います。1度だけなら様子をみても良いですが、度重なる場合は注意した方が良いです。まずは原因から列挙してみましょう。
頭蓋内疾患;頭部外傷(脳震盪・外傷性てんかん)・脳卒中(脳出血・脳梗塞)・内頚動脈閉塞症・脳腫瘍に伴うてんかん発作など
内科的疾患;不整脈・貧血・低血糖・糖尿病・起立性低血圧・電解質の異常など
てんかん;画像検査で異常が見つからず原因不明な発作
その他;迷走神経反射
基本的には上記のように頭蓋内疾患・内科的疾患・てんかん発作、に分けられます。正しく原因をつきとめるには、問診と既往歴が重要です。
まず身近なところから頭部外傷です。スポーツ中などで転倒し頭部を打撲した時に意識をうしなうことがあります。これが脳震盪です。意識消失のタイミングが打撲した直後であり、意識の無い時間が短い場合(数十秒以内)はあまり心配がいらないのですが、打撲後から時間が経過していたり、意識消失の時間が長かった場合(分単位以上)や繰り返して意識消失が認められる場合は画像検査や脳波検査をしておくことをお勧めします(”外傷性てんかん”という病態もあります)。
「どちらかの一方の目に黒いカーテンが降りてきた感じ」;これは網膜を栄養している血管(網膜中心動脈など)が閉塞した場合に自覚されます。(ちなみに白い場合は白内障)また眼動脈が詰まって起こるため、眼動脈に枝分かれしていく大本の血管である内頸動脈が閉塞するとこのような特徴的な症状(これを黒内障発作といいます)が出現します。このような場合は脳卒中の専門医を受診する必要があります。
てんかん発作の場合は、画像検査をし、脳腫瘍や脳血管障害がないことを確認することと、脳波の検査を行う必要があります。
「意識を失う」というと、「脳の病気」を考えてしまいますが、実は内科的疾患の方が、頻度が高いのです。いわゆる「立ちくらみ」の場合は、めまいと同様、貧血・起立性調節障害が原因であることが多いです。
不規則なリズムによる心拍の乱れを呈する(特に徐脈;心拍数が減ること)不整脈が原因であることが「失神発作」を起こします。通常の心電図検査で発見できない場合でも24時間持続して心電図検査(ホルター心電図)を行うと治療の必要な不整脈が発見されることもあります。そうなると循環器専門医による投薬治療となります。
糖尿病から意識消失(時には昏睡)を起こすこともあります。糖尿病の患者さんは厳格な血糖値と糖尿病の専門医による投薬管理が大切です。
トイレで息んだときに意識を失うことがあります。これは迷走神経反射による「失神発作」です。これも時々経験します。
(心臓副交感神経の亢進によって過度の徐脈となり、全身の血圧低下を引き起こし、顔面蒼白となって失神を来すものです。 発作直前には、眼前暗黒感、嘔気、頭重感、頭痛、複視、腹痛を伴うこともあります。)
このような患者さんにはトイレで息まないように下剤を処方して予防します。
ともかく、既往歴を聞くことは重要です。原因はなんであれ、意識消失を自覚した際にどの科にかかったらよいかわからない場合にはご相談ください。
また他の医療機関を受診しても原因がよくわからなかったという方にも適切にアドバイスをさせていただきます。
その他 神経症状
「視野が欠ける」:例えば右側(あるいは左側)半分が見えなくなる症状があれば、脳の疾患が疑われるため、頭の検査が必要になります。眼科の先生からの紹介が多いですが、眼科の先生が気づかなかったために検査がなされず、脳腫瘍がかなりの大きさになってから見つかることも時々あります。
「聞こえづらい」:例えば電話口で話す言葉が聞き取りにくいなど片方の耳の聞こえが悪くなった場合の原因として聴神経の圧迫を疑います。耳鼻科で最初に指摘されることが多々あります。
「手足の痛み」「手足の痺れ・麻痺」「手が動かしにくい・力が入らない」:動きが悪いこととしびれることはしばしば混同されますが、体の一方の手足に何らかの症状が自覚された際には脳の疾患を疑います。両手両足に症状を自覚する場合は脳以外の原因であることが多く、脊髄脊椎疾患や糖尿病の検査が必要になることもあります。急激なしびれや症状が急速に悪化する場合はすぐに受診が必要です。
「歩きづらい」「歩くと足が痛くなってくる」:間欠性跛行と呼ばれる症状です。腰椎脊柱管狭窄症や足に栄養を送っている血流の流れが悪くなる場合にみられる典型的な症状です。
患者様の訴える症状は重要です。似たような症状でも脳か脊椎脊髄に原因があるか、脳神経外科か他の科に受診すべきか、は状況によって異なります。ともかく、上記のような症状を自覚され、「何か変だな」と思った時はすぐにご相談ください。
担当医師紹介
非常勤医師
- 氏名
- 田中 俊英
- 略歴
- 東京慈恵会医科大学 卒
東京慈恵会医科大学大学院 卒
東京慈恵会医科大学 脳神経外科 准教授
- 資格
- 日本脳神経外科学会専門医
日本脳神経外科学会指導医
日本頭痛学会指導医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本がん治療認定医機構がん治療指導医
- 専門
- 脳神経外科一般、脳腫瘍

脳神経内科
筋炎、筋ジストロフィー症、重症筋無力症などの筋疾患やパーキンソン病、アルツハイマー病、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺などの神経変性疾患、認知症なども診療しています。